【柳田さん(20代前半男性)の声】 やり切った1年(2024年1月) 

どうもこんにちは。私は高校卒業後すぐ、18歳から3年間の引きこもりを経て去年の5月、八おき塾に入ることになりました。それから5カ月間、色々な訓練を積んで、10月からアルバイトを始めました。
高校を卒業した時、大学受験に失敗していた僕は専門学校に通うことにしたものの一度行っただけで退学し以後引きこもり生活が始まりました。元々卒業後のことは何も考えていなかったですし、何よりも今の自分を見られたくなかったことがありました。そんな心境だったので最初は一歩も外に出られませんでした。
しかし一年ほど経ちアトピーの症状が激しくなり、病院で「早起きして朝日を浴びて運動しなさい」と言われ、渋々早起きして散歩をするようになりました。朝早く起きるのも辛かったですが、一番は散歩中の他人の視線でした。視界に入るあらゆる人が自分を見ている、馬鹿にしているとばかり考えてしまい、暫くはその猜疑心を克服するための日々でした。慣れてきたと思っても、知人とすれ違うと暫く外に出られない。どうしても辛いときは散歩に母と行っていました。
それでも一年半程経つと慣れてきて、人気のないところなら日が暮れるまで外出できるようになりました。この頃になると、アトピーも既に治りかけで、代わりに将来を意識し始めました。今までは「アトピーを治すのが社会復帰より先」そう言い聞かせて現実逃避していましたが、治ってしまえば社会復帰以外目標が無く、現状に対し、ひたすら罪悪感が溜まり、些細な不安を一度口にすると、発作のように突然泣き出し将来への絶望感を吐き出すようになりました。

これはまずいと思い、母が読んでいた会報をこっそり読んで知っていた八おき塾に見学に行きとりあえず入塾しました。それからは伝票書きによる仕事の練習、昼食作りと一分間スピーチでのコミュニケーション能力の回復などに取り組み、社会とのズレを治して自信が戻ってきていました。
そろそろ新しいことをしようと言われ社会復帰最初の一歩に選んだのは自動車学校でした。申し込みの段階から、同世代の人間と同じ場所で時間を過ごすと考えると死ぬほど嫌で、一度入学をキャンセルしてしまい最終的に二週間かけてついに入学。案の定学生だらけで軽く後悔しましたし、辛かったですが、ほとんど会話の必要が無かったのが当時の自分にはちょうど良かったです。この時の経験のおかげである程度は同世代の人間からの視線が気にならなくなりました。
次に挑んだのは日雇いアルバイトです。普通のアルバイトは全くできる自信がなく、これなら万が一、人間関係でつまずいても最悪、明日から行かないという選択肢を取れることや最初は週一シフトが可能で面接も要らなかったからです。早速週一日二時間を目標に単発バイトを見つけ初めて働きました。死ぬほど緊張しつつも特に何事もなく最初の勤めを終え、来週の目標を週二日四時間に増やしました。中には山積みの蛍光灯をひっくり返して全部ダメにしたり、バイト先が遠すぎて始業時点で倒れそうになったり失敗もありましたが過度に悲観的にならなくなりました。それから数カ月で遂に週四日二十時間まで働けるようになり大きな自信がつきました。

そして遂に去年の十月、僕は日雇いではないアルバイトとして働き始めました。ある日八おき塾に現在の職場の上司が来て、「人手不足なので誰かうちで働かないか」とお誘いが来ました。あわよくば面接無しで働けるかもと思い二つ返事でOKしたら面接をすっ飛ばし、三日後には働き始めることになり、今に至ります。本当に運に恵まれたこの一年でしたが、そもそも積み上げた自信がなくては好機を逃していたのは間違いなく、高校卒業からの四年間、この亀のような歩みを辛抱強く支えてもらった親とコーチ陣に感謝しています。

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