【柳田さん(20代前半男性)の声】  
  恥ずかしくない自分への第一歩(2023年7月) 

「やるべきことから逃げない大人になってください。」高校を卒業する時、担任の先生が私にかけた言葉です。こんなことを言われる程散々逃げてきた私ですが、この三ヶ月の中で自分を大きく変える第一歩を踏み出しました。失敗の連続に挫折しかけながらも自動車学校に通い、来月は初めてアルバイトをする予定です。
四年前大学受験に失敗、代わりに行くはずだった予備校をドタキャンし、行くべき道を見つけられぬまま友人と卒業証書をやけくそに振り回しながら校門を駆け抜けました。その後三年の間知り合いと会いたくない、今の自分を見てほしくない一心で社会から離れ現実逃避する日々を送りました。この三年で、頻繁に山登りする等外出を楽しめるようになりましたが、逆に悪化したこともあります。将来への不安です。漠然とした恐怖で物に当たることや、唐突に涙が出て止らないといったことが増え、そんな自分の情けなさでまた涙が出てくる。この何もかもうまくいかない状況で、前から読んでいた会報から八おき塾への興味が日増しに強まり、気づけば「見学に行ってみたい」と母に頼んでいました。

入塾して一週間、私が変わるきっかけは最初の面談でした。机の上で手を組み満面の笑顔で視線をこちらに合わせた鳥巣さんから、「お前の振る舞いはまるで高校生のガキみたいだ、粋がってるけど全部見透かされてるぞ」と繰り返し言われたことです。内心では社会復帰というものを舐めていたこと、自分はうまくやっていると天狗になっていたことを指摘され、強い衝撃を受けました。以降は自分の失敗を素直に受け入れ隠さないこと、そのリカバリーを冷静に考えることから始めました。
出荷作業中の書類の入れ忘れや誤字脱字、笑顔で挨拶することや、「俺」という一人称を使わない等どんなに小さなミスでもその解決策を箇条書きにして毎日見直したり、自分の弱みを敢えて他の受講生に話したりと失敗を恥じない、焦らない心構えに腐心しました。

しかし入塾して四週間、成長し始めた私に最もつらい出来事がありました。自動車学校の入学申し込みです。緊張の中オンライン申し込みに挑むもZoomは音が出ず、申し込むコースはわからず、相手に伝えたいこともまともに言えず、言えたと思えばデタラメばかり、最終的に大事なことは母が話しました。そして見栄っ張りな私は、この恥ずべき失敗を無かったことにしたくて、母にキャンセルの連絡をしてもらいました。結局は自分の失敗を他人から隠したくて仕方がなかったのです。その後数日間八おき塾を休み、山に登り、ずっとこの失敗を考えていました。免許取得を諦めようかと思いました。いっそのことまた引きこもってしまおうかとも思いました。それでも入塾以来自分なりに徹底した「失敗だ」と思っても恥じない、焦らない心構えが完全に諦める以外の道を進ませ、もう一度申し込みのための電話を掛けさせました。振り返ってみると、その日は人生で初めて一度諦めたことにもう一度挑んだ日になりました。

こうして諦めなかった経験がこの先に待つアルバイト、果ては林業や地域おこしへの就職につながると信じています。これからも失敗を恥じない焦らない心構えを忘れずに、挑戦していきたいと思います。

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